損害保険の起源

損害保険の起源は諸説ありますが、現在残っている最も古い損害保険の記録によると、
今から五千年以上前の中東に遡ると言われています。
チグリス・ユーフラテス川を中心に発展したメソポタミアの時代には、
既に海の向こうの国々との交易が盛んに行われており、当時文明の中心だったバビロニア(現在のイラク)は、
運送は専門業者に任せていました。
中には高価な品物も扱っていたので、専門業者の家族や財産を担保に取ったそうです。

その後、ギリシャ・ローマの時代には、地中海を中心に交易を行っていた商人達によって作られた制度に
冒険貸借(ぼうけんたいしゃく)がありますが、これこそが現在の海上保険に繋がるものだと言われています。
船舶や船の積荷の所有者が、それぞれ所有するものを担保に金貸しから借金をし、
無事に帰って来た場合には元金に高率な利子を上乗せした金額を金貸しに支払いましたが、
もし事故があって無事に戻らなかった場合は借金をゼロにするというもので、
13世紀頃まで存続していた制度です。

その頃の地中海は自然災害のみならず、海賊が横行しており、船主や荷主は船と人命を
優先して積荷を海に投棄せざるを得ない状況に遭遇することも少なからずあったため、
その損害補償は船と積荷の所有者が行いました。
これが損害保険の起源と言われています。

海上のみだった損害保険が、対火災や泥棒による被害にまで波及したのは、
17世紀のロンドンの大火が発端でした。
日本でも鎖国までは朱印船貿易が盛んでしたが、その頃冒険貸借と同様の制度が
あったことは記録に残っていますが、日本人による保険の記録は、19世紀まで待たなければなりませんでした。

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